日曜日, 10月 6, 2024
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ハイ・アングル(2024年6月1日号掲載)

▼消費者庁が継続的に開催する「食品表示懇談会」では、デジタルツールを活用した食品表示のあり方を議論。背景には、食品表示の見やすさや消費者に対する情報提供の拡充などが挙げられる。近年、国民の健康維持といった観点から食品表示関連の法整備が進み、記載情報は増える傾向。しかし面積が有限なラベルの中へ法規制に則した情報を押し込めた結果、消費者にとって表示内容が見にくくなるといった課題が生じている。デジタルツールはこの課題を克服できるとの考え

▼確かにスマホなどで食品表示内容を視認する仕組みが確立されれば、ラベル面積に影響されず多くの情報を消費者へ提供できる。識者は「スマホで商品のパッケージを映せば食の安心・安全に関する情報が画面にすべて表示される仕組み。ラベルレスにも対応し、環境負荷低減に貢献する」と説く。ラベル需要の3割強を占める食品分野に、よもやラベルレスの危機か

▼冷静に考えると、そもそもの課題は「表示内容が大量で見にくい」といった点。そこにラベルとデジタルツールの違いはない。消費者が必要な情報を把握できるため、的確な表示方法を見いだすことが重要。事実、同懇談会でも「デジタルツールで提供する情報を整理しなければ、消費者の混乱を招きかねない」との意見が挙がる

▼食品表示にラベルが不要となることはない。ただしそれには、ラベル関連会社が消費者に分かりやすい表示内容の伝達方法を模索することが不可欠。高齢者や色覚障害者が健常者と同じように識別できるフォント、色彩はもとより、円安で増加する訪日外国人にも理解可能なデザインの採用を推進すべき。そして面積や音声などラベルで克服できない課題はデジタルツールで補完。ラベルとデジタルツールの双方が効果を発揮できる仕組みの構築に率先して試行する必要があると考える。

(2024年6月1日号掲載)

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