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ハイ・アングル(2024年12月1日号掲載)

▼帝国データバンクの「2024年人手不足倒産」調査によると、10月時点で287件に達し、過去最多だった23年の通年件数をすでに上回った。注視すべきはその8割近くが「従業員10人未満」。小規模事業者は複数の業務を従業員が兼任することも多く、雇用は”生命線”。この大きな課題をいかに克服するかが企業の将来を分ける

▼ラベル業界でも人手不足は課題のはず。しかし印刷会社への取材では「製造部門は人材を確保できている」との声も多く聞く。経営者は先を見据え、作業負担の軽減を機器で補う戦略を推進。ラベル関連サプライヤーもこれらのニーズに応え開発に力を注ぐ

▼ラベル印刷会社が人手不足と無縁なのかといえば、否である。むしろ深刻なのは、自社の製品やサービスを顧客へ提案・訴求できる「営業」の不足。蓄積した技術ノウハウと機器・システムの機能向上により優れた製品を生み出せても、それを売る人材が足らなければ収益を伸ばすのが難しい

▼ラベル印刷会社の営業は「仕事を受注する」だけでなく、新需要の開拓とパイプ構築、困りごとのリサーチ、ニーズの把握と製造部門への伝達、価格や納期などの条件交渉といった役目を担う。そのためには自社の強みと顧客の状況、ラベル製造技術を理解していなければならず、習得すべき項目は多岐にわたる

▼各協組では製造技術の承継を目的とした研修会を実施。内容は濃密で、ラベル業界は今後も高い技術力を維持し続けるだろう。一方「ラベルを売る」手段について、大手は新人向け学習プログラムが構築されているが、中小は日々の業務に追われ育成の時間がない。ならば営業対象の研修を組合が企画してみては。”ラベル営業のいろは”を学ぶ機会があればノウハウの承継に役立ち、人手不足克服につながるかも。企業成長は製造と営業の双方で達成できるのだから。

(2024年12月1日号掲載)

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