▼大型連休は各地に人流が戻り、コロナ禍前の水準には及ばなかったものの、観光地を中心に賑わった。他方、インバウンドも絡めたオーバーツーリズムに関する課題も浮き彫りに。以前、花火大会で知られる名所に訪れた際「バスツアーの観光客は大挙して押し寄せてくるものの、見るものを見たら地元にお金を落とさないで帰ってしまう」との声も聞こえた。山梨の“富士山が見えるコンビニ”しかり、交通渋滞やゴミ問題などへの対応に苦慮している
▼デメリットを上回る消費拡大などのメリットにつなげられることが理想ではあるが、世界各地の観光地で同様の課題に頭を悩ます。大勢集まった観光客をいかに購買行動へ誘導するか。資産を換金する術は印刷業界の課題でもある。「優れた印刷技術を持つオペレーター」など、各社の資産を適切な価値で市場へ提供するには。特に日本企業の印刷品質は、世界のラベルコンテストでも受賞常連国となり認められているところ。技術承継も含め、持続可能なラベル印刷会社でいるための解が求められる
▼若手の印刷業界人らが集って、業界発展へ知恵を出し実践する印刷産業青年連絡協議会は、SNSの紹介制ネットワークを構築。東京の300社超が参画しており、日々、業務の困りごとや事業のアイデアについて刺激を与え合っている。先日行われた同会の総会では、同ネットワークを全国へ開放し、さらなる発展・拡大を狙うと報告された
▼営業リソースや加工設備の不足といった個社では対応し切れない領域を群の力でカバーする。コロナ禍で対面が控えられ、オンラインの顔合わせも常態化した昨今。それでも往来が正常化し、直に対面することで生まれる価値は見逃せない。今年は「drupa」をはじめ、ラベル関連の展示会も本格化。人流の戻りと新たな創造へ、盛大な花火を打ち上げたい。
(2024年5月15日号掲載)