▼日本の印刷産業を司る(一社)日本印刷産業連合会。先の定時総会で、今期から大きく舵を切ることが明らかになった。印刷は今、大きな転換点を迎えている
▼2030年の印刷産業のあるべき姿とは。そして、印刷の事業領域とは何か。”これからの印刷”を共創しいていく「グランドデザイン2030」再構築プロジェクトが本格始動する。関連して今期「6つの新プロジェクト」が発足した
▼その一つで「新たな印刷産業の定義・呼称を検討する」と定める。印刷の新たな呼称、印刷産業の再定義に向けては、すでに前期から日印産連傘下10団体の会長を中心に協議を開始。この先、過去との決別が迫られる場面も到来しそう。アイデンティティーの再構築へ、全日本シール印刷協同組合連合会の発信力にも期待がかかる
▼次代に向けた変化も。今年9月に仏・リオンで開催される技能五輪国際大会で、「印刷職種」競技は応募国数が規定数を満たさず廃止が決まった。また日印産連の「環境優良工場表彰」は、本年度と来年度の開催を見送る。創設から20年が経過し、制度自体の抜本的な見直しを図る
▼一方で新たな表彰制度「SDGs Award」創設に向けた準備委員会を発足。社会に対して優れた取り組みをした印刷会社を評価していく。課題を解決する好事例を、傘下団体で共有化していく狙いだ
▼今号中面では、ラベルコンテストに向けた技術研修会の盛況を報じる。環境、ダイバーシティー、イノベーション事例を評価する日印産連に倣い、社会に資するシール・ラベルの事例を競い、最善慣行を共有する。そんなコンテストが誕生する日は来るか
▼迫りくるラベルレス化。印刷産業の再定義が始まる今、ラベルのあるべき姿も問われ始める。そこへ印刷技術は何ができるのか。培った技術は綺麗な印刷を刷るためだけのものではない。ラベル業界も今、転換点を迎える。
(2024年6月15日号掲載)