土曜日, 2月 15, 2025
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ハイ・アングル(2025年2月1日号掲載)

▼帝国データバンクが先日発表した報告によると、2023年度決算が判明した出版社675社のうち36%にあたる247社が赤字に。構成比は過去20年で最大だった。さらに前年度から減益を計上した企業を含む業績悪化の割合は66.1%と、同様に過去最大を記録した

▼一般印刷や商業印刷に比べると、これら電子化の動きと一線を画すシール・ラベルは安泰か。24年の訪日外国人はコロナ前も超えた3687万人、消費額は8.1兆円といずれも過去最大を記録。そんなプラス要因が揃っても、ラベルや包装の需要増に直結しづらい

▼旅行客らの関心は、モノ消費からコト消費重視へ。円安基調も手伝い高級な食事に上質な宿と、高値の花だった高付加価値なサービスに手が届き出す。ある経営者は「数週間の旅程の途中で荷物の増える買い物は非合理的」。また土産を大量に買って配るのは一部アジアの慣習に留まると指摘して「爆買いはもはや過去の話」と見立てる

▼そんな市場環境にあっても、本紙調査の景況感アンケート。ラベル印刷会社の23年度下期は「増収増益」だ。ほぼ1年前の概況ゆえ多少ずれはあるものの、冒頭の数字を思うとわれわれには余力は残されている

▼外国人にも人気の醤油にNFCラベルを貼付。自国に帰った後でもスマホで使い方、調理例を動画で伝えることで思い出を冷蔵庫の”こやし”にさせない。地方のブランドオーナーは「これだけ日本に外国人が訪れる今こそ、日本の食文化を世界に持ち帰ってもらう好機」と大望を語る

▼儲かる市場にどう線を引くか。昨年末の「文具女子博」、大盛況の会場にはまだ訪日外国人の姿がない。内需でこれほどならば買う側から売る側にと、企業横断で技術と知見の価値化に挑む共創型ものづくりが始まる。過去最大の出荷額にスタートアップ数、いつかそんなニュースを報じたい。

(2025年2月1日号掲載)

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