土曜日, 10月 5, 2024
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ハイ・アングル(2024年9月1日号掲載)

▼気象庁が”最大級の警戒”を呼びかけていた台風10号が8月下旬、九州南部に上陸した。のろのろと北上したのち、進路を東へ向けて横断。台風からほど遠い地域でも線状降水帯が発生し、河川氾濫や冠水、家屋損壊などの被害を及ぼした。交通網も混乱し、物流各社は全国的な配送の遅延を早期発表。生産活動に支障をきたした。自然災害が景気動向に与える影響は大きい

▼コメ不足が消費者の不安をあおっている。都市部のスーパーではコメの陳列棚がカラの状態に。農水省は需給や価格に与える影響を懸念して備蓄米の放出に否定的。他の食品と同様にコメの価格は高騰しており、消費者の財布には厳しい

▼コメ不足は台風や酷暑などの自然災害だけが理由ではない。ある流通関係者は5月段階でこの状況を予測。減反政策でコメの生産量が減少し、自然災害に限らずインバウンドや物流問題などでも需給バランスが乱れやすくなった点を指摘する。生産者も肥料や燃料などのコスト増からコメの売価上昇は歓迎ムード。前述の関係者は「実は他の農産物も同様」としたうえで「農産物は輸入に加えて国産も価格は上昇傾向。原料とする加工食品が影響を受けないわけがない」と分析する

▼食品ラベルは需要全体で3割のトップシェアを占め、これまで安定したニーズを維持してきた分野。しかしラベル出荷額の2023年成長率でみると食品は3.8%減で、電気機器に次ぐマイナス幅に。ラベル製造の屋台骨は今、需給バランスの乱れで揺らいでいる。ラベルビジネスに携わる企業にとって食品ラベルの需要減少は〝最大級の警戒〟に相当。早急にニーズの変化を把握して対策を講じるべき。価格上昇に伴う消費マインド低迷の中で食品メーカーには「商品を多く売りたい」意識がある。そこにラベルがどのような役目を果たせるかが需要回復のカギとなる。

(2024年9月1日号掲載)

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