▼業界最大級の専門イベント「ラベルフォーラムジャパン2024」の開催が間近に迫った。コロナ禍で実施困難な状況が続いたが、5年の歳月を経てリスタートへ。会期中は、機器のデモ稼働や新製品の披露も多数控える。主催の立場ながら期待で胸の高鳴りが抑えられない
▼この5年間、ラベル市場を取り巻く経営環境は変化した。経済はデフレからインフレへと移行し、為替レートは円安に。原材料などの価格改定が相次ぎ、働き方改革の推進も不可欠となった。経営者は利益率の維持に苦慮し、製造現場は人手不足や技術承継に頭を悩ます。一方で価格競争は継続し、環境負荷低減への取り組み、高品質・短納期の要望は変わらず。従来の課題に新たな課題が積み重なる
▼ある印刷会社の経営者は取材の際「オペレーターに厳しい要求をしない。損紙や作業時間の削減ばかり強要すると”モノづくり”の楽しさに目覚めず辞めてしまう」と話した。ラベル製造技術は覚える内容が多く、習得には材料や時間のロスが少なからず生じる。しかし失敗を重ねたオペレーターが立派に育ち、製造現場をけん引するようになればロスなど取り戻せるだろう。「顧客の厳しい要求には営業担当の交渉力で対処。習得が難しい技術や利益確保につながる効率化は機械の性能で補えばよい」と経営者は続ける。人手不足解消策の糸口を見た気がした
▼日本全体が少子化に突き進む中でラベル業界人が増える可能性は低い。企業成長は今後、従業員によるモノづくりへの積極的な姿勢がカギを握る。限られた人材で創造性豊かなビジネスを展開するためにも、負担を軽減させる機器・システムの導入や効率化の手段が重要
▼これらの有益な情報は10月23日㈬からの3日間、東京ビッグサイトに満ちるだろう。フォーラムが業界発展の助力になれば。そう思うからこそ期待に胸が躍る。
(2024年10月15日号掲載)