▼日本人はルールを守る。ポイ捨てをしないので街がきれい。日本人は正しい生き方を選択する。なのに”普及”しないのはなぜか。ラベルフォーラム「ミニセミナー」の一コマだ。容器を回収・再利用するサスティナブルなショッピングプラットフォームを世界で実践する「Loop」日本法人代表の分析が耳に刺さる
▼結論は「経済的余裕がないから買えない」。メーカーも消費者の購買力が低下していることを理解して、高い商品を作りにくい。なぜなら「競合が少し安い商品を出すと、消費者はそちらを選ぶから」。地球に優しい取り組みでもコストで判断されて結局選ばれない。ゆえに参画を躊躇っていると今日までの道程を振り返る
▼Loopを世界で展開する際、最初にフランスと日本を選んだと説くエリック・カワバタアジア太平洋統括代表。フランスは環境先進国ゆえ容易に支持されエシカル消費も旺盛なのだろう、と思われがちだがそれは正確でなく「日本人とLoopの親和性こそ至上」と同氏。理由は冒頭の通り。「これほど環境活動に向く国民性も希少なのだが」
▼日本は元来、化石資源が潤沢ではない国。MOTTAINAIの精神が体現する通り、工夫して合理的にものをつくり、資源を大切に取り扱ってきた。環境保全を促進するには「再生プラスチック使用の義務化」や「家庭ごみの有料化」といった個社の努力以外の政府らによる外的要因が追い風にも。〈捨てるという概念を捨てる〉Loopの活動を通じ、包装の進化でサスティナブル社会に貢献していくと同氏は語る
▼政府の施策を待たずして、ラベルから循環経済を回すのだという企業横断の共創型プロジェクトのセッションも行われた。明日からわれわれに何ができるのか、ラベルはそこへ何ができるのか。無料開放する全6セッション動画の配信に解を見いだしたい。
(2024年11月1日号掲載)