▼(一社)太陽グラントソントンはこのほど、主要28カ国の中堅企業を対象に女性登用率の意識調査を実施。その結果、世界中堅企業の女性経営幹部登用率は33%だった。日本は19%で上昇傾向にあるものの、経営幹部に1人も女性を登用していない中堅企業の割合は39%で最下位。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の観点で日本は遅れが目立つ
▼なぜDE&Iが産業界で重視されるのか。最大の理由は「労働人口の減少」。2070年は日本の総人口が約8700万人、65歳以上が約4割に。各企業は将来を見据え、限られた人材の中で労働者が活躍できる環境整備を急ぐ。特に女性が職場で担う役割への期待が大きい。もっともその女性は働きやすい企業への就職を求める。だからこそ女性の視点で経営判断できる幹部が必要となる
▼ラベル業界でも近年、女性が活躍する場面が増えている。中にはオペレーターとして印刷機や加工機を稼働させる姿も。あるラベル印刷会社の経営者は「女性は仕事がていねい。見当調整や色の濃淡など細心の注意を払う」と語る。ただし実際にラベルの製造現場で働く女性からは苦労話も。その1つが印刷機のジョブチェンジ。版シリンダーや粘着紙のロールが重く、交換に時間を要するとのこと。複数の女性オペレーターに対策を尋ねたところ「近くの男性に頼む」「気合を入れる」との返答が
▼DE&Iは誰でも同じように労働できる環境づくりを意味する。熟練度に依存しないラベル製造を実現すれば生産性は向上する。女性が働きやすい生産現場になれば、人手不足の解消も。またラベルサプライヤーも女性が作業に従事する製造現場を鑑み、DE&Iに即した機器・サプライを開発、供給する必要もあるだろう。今後、サプライヤーの女性経営幹部が活躍する場面も増える可能性は高い。
(2024年4月15日号掲載)