▼ザ・ビートルズの新曲「ナウ・アンド・ゼン」がこのほど発売。ビルボードによると、ビートルズが全英1位になるのは54年ぶりとのこと。ジョン・レノンが生前、磁気テープに記録していた音源をAIが解析。雑音などを取り除き、ボーカルのみを再現できたことで新曲が完成した。斯くして半世紀以上の時を超え、4人のラブソングは世界に響きわたった
▼AIはラベルビジネスの未来に大きな変化をもたらす可能性を秘める。大阪シーリング印刷ではラベルデザインにAIを活用した取り組みを推進。同社の膨大なデータをAIが学習し、商品訴求力の高いデザインを生成する。ラベル製造の現場でもAI活用を模索する動きが。ミヤコシはオフセット間欠機にAIソフトウエアを搭載。AIが熟練オペレーターの技術に近いレベルで印刷作業をサポートする。課題とされるラベル業界の人手不足解消にAIが役立つと期待の声も
▼一方、世間ではAI技術の悪用が物議を醸している。実存するニュース番組で岸田総理がでたらめな内容を話すフェイク動画がSNSを中心に拡散され、政府が「民主主義の基盤を傷つける」と問題視する事態に。件の動画をわずか1時間で作成した若者は「これがダメなら風刺画もすべてダメでは」と開き直るなど、問題点を理解できていないようす。AIが戦争のプロバガンダに利用されるケースも生じるなど、人々を破滅に向かわせるような世論操作が容易という恐怖が潜むことを
▼「この世で悪用されないものはない。科学技術の進歩は危険と背中合わせ。それを乗り越えて初めて人類の未来に貢献できる」。ダイナマイトを発明したノーベルの言葉にもあるように、優れた技術を使いこなすには常に倫理観が求められる。AIは本来、人類に発展と幸福をもたらすために開発された技術。それを忘れてはならない。
(2023年11月15日号掲載)