▼完璧な言葉使いに、いつどこでそんな知識を得るのかと舌を巻く博識さ。人生を達観したかのような子役に感嘆の声が漏れる。そんな子供たちに畏敬の念を込めつつも、思わずこんな冗談が脳裏をよぎる。「一体人生何周目だい」
▼今月1日に施行したプラスチック資源循環促進法。これからは、そもそも設計段階から再生可能資源に置き換えてものづくりを促進していこうというもの。販売・回収・再資源化、そして再び販売。生まれた時から消えゆく手段が定められ、さらには転生後の人生までも約束されていく
▼展示会に臨むある包装印刷会社。平和記念公園に捧げられ保管期間が過ぎた折り鶴を引き取り、原料に配合して洋紙を作る〝社会貢献型素材〟を紹介する。廃棄されてきた折り鶴を資源として循環させ、売り上げの一部をユネスコに寄付するそう。人々の平和の祈りが色紙の彩り豊かな混抄紙へ生まれ変わり、世界をカラフルに巡っていく
▼ラベルは循環のサイクルにどう交わるか。インキはもとより、ラミもニスものりもまとうラベル。再資源化の過程にかかるエネルギー消費やコスト負担から、現時点では経済合理性を欠く。かつ繰り返し使用する再生フィルム素材に、バージンフィルムなみの透明性を再現できるか。「ならば剥離紙から」。直上の通り、廃棄物を資源に再定義していく資源循環への挑戦が始まる
▼「十分に終わりのことを考えよ。 最初に終わりを考慮せよ」。今から570年前の今日4月15日に誕生した、レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉だ。終わりを考えることは今をどう生きるのか考えることと同義。X年先の、筆者が天寿を全うした後の世界。いつか私も循環に携わった人生何周目かのラベル素材をまとう商品を、子供がそれと知らずに手に取る。そんな循環型の世界もあっていい。ではそのために今日をどう生きようか。
(2022年4月15日号掲載)