キヤノンの連結子会社であるオセ(オランダ)はこのほど、UVインクジェット(IJ)方式のデジタルラベル印刷機「Océ LabelStream 4000」シリーズを欧州のショールームで発表。同機によって、キヤノンはラベル市場への参入を果たした。基材幅に応じた2タイプをラインアップし、高品位な印刷と高速稼働、柔軟な拡張性などで差別化を図る。キヤノンとオセの〝インクジェットDNA〟が盛り込まれているとしており、ハードの性能だけではなく、サポートも含めトータルで展開していく。
Océ LabelStream 4000はシングルパス方式の4色機で、オプションで白インクにも対応。プレコート不要で紙系をはじめ、PET、PP、PE、PVCといったフィルム系の基材に印刷適性を示す。
印刷機構には「Xaar 2001」ヘッドを搭載しており、解像度は720×600dpi、標準で40〜450マイクロメートルの基材厚に対応し、印刷速度は最大で毎分68メートル。基材幅330と410ミリの2機種をラインアップしている。
モジュール機構を採用しているため、用途に応じた豊富なオプションもインラインで追加可能。フレキソ印刷のほか、セミロータリーダイカットやラミネート、スリット、コールド箔・ニス加工、検査装置といったユニットを増設できる。また、印圧調整、印刷データの登録といった設定を自動化し、セットアップ時間の短縮を実現している。
多品種小ロットの商品展開が活発なコンシューマービジネス、あるいは化粧品や医薬品など高精彩さが求められる分野での活用を想定している。
同機を展開するにあたって、キヤノンが30年以上にわたり培ってきたIJ技術のノウハウをもとに、高度なサポートを提供するとしている。各社が構築している既存のワークフローとの連携、24時間体制のテクニカルサポートなど、導入後の支援も徹底する方針。オセのチーフマーケティングオフィサー兼プロダクションプリティングプロダクツのエグゼクティブバイスプレジデント、クリスチャン・ウンターバーガー氏は「同機はキヤノンとオセの〝インクジェットDNA〟に基づいて構成されている。高精彩印刷でクライアントの要求に応え、ショートからミドルランのジョブにおける収益性を高めることができる」とコメントしている。
2018年中に欧州でのリリースを予定しており、次いで米国でも販売される見通し。日本国内における展開は現時点で未定となっている。
キヤノンは、市場規模が大きく伸長しているラベル・パッケージ、壁紙・産業資材を包括した「産業印刷」分野を将来的なターゲットに位置付けている。今回のOcé LabelStream 4000シリーズでラベル市場への本格的な進出を果たし、今後も同市場への積極的な展開を図っていくものとみられる。
(2018年6月15日号掲載)