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ハイ・アングル(2024年3月15日号掲載)

▼改正障害者差別解消法が4月1日から施行される。同法は「障害を理由とする差別を解消し全国民が障害の有無で分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現を目的とする」もの。これまで民間事業者は努力義務だった障害者への「合理的配慮の提供」が法的義務となる

▼障害者から社会的障壁の除去を必要とする意思表明があった場合、事業者は過度な負担がない限り障壁の除去へ合理的な配慮をしなければならない。例えば店舗。車いすに乗る障害者が段差により一人で入店できない場合、施設側は段差を乗り越える補助をする等の配慮が求められる

▼内閣府が主管するサイトでは合理的配慮の参考事例があり、買い物の例も明記。曰く「メニューや商品表示を分かりやすく説明したり写真を活用したりする」に「金額が分かるようレジスターや電卓の表示板を見やすく向ける・紙に書いて示す」などを挙げる

▼見やすさ・分かりやすさは規定されないが、表示やPOPに日々関わるわれわれの課題解決力に期待がかかる。のみならず、情報伝達・情報加工のプロである印刷業界が、英知を活かし施設管理者の一助となる機会ともいえよう。早速、点字シールの受注が増えていると話す印刷会社も。その先は、合理的配慮は施設設備だけの話か・そこに並ぶ商品の包装は共生社会に何ができるかとの発想にも至ろう

▼今号中面では、見やすさ・分かりやすさを科学的見地から定量化する団体が「パッケージのわかりやすさ」を問うセミナーリポートを掲載。「社会をデザインする」という言葉を生み出した第一人者、デザインは社会を変えられると信じ活動してきた高橋正実氏が登壇した

▼社会課題をデザインの力で解決していく。先駆者の信念と行動の中に、共生社会に寄り添うパッケージの未来の鍵を見る。春は間もなく、皆に等しく訪れる。

(2024年3月15日号掲載)

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