【2011年8月15日号・ラベル新聞掲載】イスラエルといえば、常に紛争の危機にさらされている印象が強いが、経済の中心地であるテルアビブ周辺は、欧州の経済都市と同様にビルが立ち並び、治安も良い。市民の生活を支えるスーパーや小売店の陳列棚には、さまざまなラベルやパッケージの食品、飲料が並んでおり、物流・流通の混乱は見られなかった。(内田)
スーパーで販売されている酒類(左写真、酒類はびんがほとんどでラベルはグルー)は、イスラエル産ワインをはじめ、欧米のビールやウイスキー、スピリッツなど種類は多彩。びんに貼られているラベルはグルーがほとんどであり、他の地域と同じ傾向だった。
一方、飲料はPETボトルが少なく、またそのほとんどが大手ブランドに限定されている。ラベリングはシュリンクが主流。ミネラルウオーター系の容器には、ラップラウンドラベルが多く採用されていたが、素材の薄型化が顕著であり、手に持った際、ラベルがずれるケースもしばしば。いささか心もとない印象を受けた。
食品ラベルはさまざまだが、粘着は数多く採用されている(=右写真。野菜など青果物のラベルは粘着が主流)。
生鮮食品は透明ラップで包装され、表面には大きな粘着ラベルが貼り付けられていた。 デザインは華美ではないが、洗練されたイメージを与える。
ハム・ソーセージなどの肉類は、冷蔵用としての包装が施されていたが、その中で透明ラップの内側にラベルが封入されている商品に目を奪われた。単純に紙が差し込まれている場合が多いものの、粘着面に印刷されたラベルをラップの内側から貼り付けるといったケースもあった。これならば冷蔵・冷凍の双方で、粘着ラベルが剥がれる心配がない。
個人的には、粘着剤が肉類などに転移しないか気になったが、現地の消費者は、そんな日本人の不安など気にせず、次々と食材をかごに投入しており、国民性の違いを痛感した。
ヨーグルトやスイーツ系はプラスチックの容器で、ラベルは大半が粘着で占められている。同じメーカーの商品は、すべて共通の容器であり、ラベルデザインで商品を分類しているケースがほとんど。気になったのは、ラベリングが〝乱雑〟だった点。日本ならばクレームの対象になる位置に、平然とラベルが貼られている商品も。現地人に「ラベルの位置が気にならないのか」と尋ねたところ、「?」と不思議な顔をされた。
ソースや調味料のラベルは、グルーと粘着、シュリンクが混在。ジャムなど透明のびんには、フィルム系の粘着ラベルが用いられ、デザインも凝ったものが多い。一方、ソースなどは中身の見えないプラスチック容器が使われていたが、こちらも粘着ラベルが多用されていた。色数も少なく、必要以上の情報を記載していない、極めて質素なラベルが大半だった。
イスラエルのラベル事情で気付いた点は①バーコードラベルはほとんど採用されておらず「正札」がメーン②凝ったPOPラベルがないかわりに、ブランドラベルの面積が大きい③ヘブライ文字は、日本の〝カタカナ〟に似ている、の3点。
ラベルのニーズについては、他の地域同様「ブランド訴求」もあるが、それ以上に「消費者へ情報を伝える機能」に比重を置いている印象を受けた。