2月中旬、電車内に掲出された大手コンビニのATMに関する広告を見て驚いた。そこには日本語がまったくなく、代わりに中国語とハングル、英語だけ。まるでその周囲だけが海外になったような感覚を抱いた。広告内容は、テレビでも連日報道されていた通り、中華圏の「春節の大型連休」で訪日した観光客の〝爆買い〟をにらんだものだ▼2月18日から24日までの期間、訪日した観光客で大半を占めたのは中国人。ここ数年、訪日した中国人の数は右肩上がりで推移しているが、今年はさらに急増との情報も。要因は複数あれど、やはり円安効果が大きい。百貨店の免税品売上高は、前年比3倍を越える見通し。同様に、コンビニやディスカウントストアも売り上げを大幅に伸ばしたもよう。商流が減退する2月と8月の「ニッパチ」は、もはや過去の話か▼東京・銀座では、観光ツアーの大型バスが有名ブランド店に横付けし、中国人が大挙して高額商品を買い求める風景が多数見られた。ふと店舗のウインドーに目をやると「TAX FREE/免稅」という英・中文字のステッカーが。この店舗だけでなく、他のショップにも貼付されている。春節の期間、銀座は中国仕様の「Yínzuò」へと様変わりし、それを過ぎるとステッカーを剥がして元の「ぎんざ」に戻るということか。おそらく秋葉原や渋谷、大阪の心斎橋なども同じだろう。粘着製品の意外な特需が発生していた▼5年後の五輪開催を控え、東京をはじめ各地で訪日客を迎える準備が始まっている。五輪のプログラムやチケットには、FSC認証の用紙が採用されるとの話も。おそらくラベルも同認証の製品が求められる可能性が高い。また、標識や商品の表示に多言語を記述するとの動きもある。新需要獲得に向け、ラベル業界人も日本にいながら国際化を求められる時代が到来したようだ。