日本ガラスびん協会(山村幸治会長)が月ごとに発表している「ガラスびん品種別出荷動向」によると、2022年夏季3カ月(6~8月)の出荷量は、新型コロナウイルス感染者数が落ち着きつつある状況を背景に、3品種で前年同期を本数が上回るなどおおむね回復傾向にあることが明確となった。中でも「酒類」はコロナ禍以前の19年同期を上回る数値となったほか、「飲料」や「薬品」も伸長。一方で出荷本数が最も多い「ドリンク剤」は前年の大幅増加から一転、減少に転じたほか、2番目の「食料品・調味料」もマイナス基調が続いている。なお出荷本数に連動するラベル需要に関しては、ガラスびんの品種別で差が生じている。
ガラスびんの品種別出荷本数では「酒類」が1億9536万本(前年同期比12.6%増)で大幅伸長した。外食機会の増加を背景に、清酒の一升びんや中小びん、ビールびんで回復。コロナ禍以前の数値を越えるなど好調ぶりをみせた。関連するラベルもグルーを中心に堅調の様相。
「飲料」は9646万本(同13.1%増)で成長率トップに。6月と7月が前年同月を大きく上回ったが、これは例年にない早さで梅雨明けを迎え、関東から西日本にかけて猛暑にみまわれたためとされる。スーパー関係者は「容器に関係なく飲料が多く出た。欠品も発生し、追加補充に追われることも」とコメントする。なお、商品の表示に関してはびんへの直接印字やグルーラベルが多いものの、小ロットの商品で粘着ラベルが採用される。
秋以降の市場に関しては、原材料価格の上昇を理由に、10月に食品や飲料、酒類で6700品目が値上げされたこともあり、消費マインドの停滞が予測される。必然的に関連商品用のガラスびんは、回復基調にあった出荷本数が鈍るとの見通しが強い。それに付随して、ガラスびん向けのラベル需要も厳しい局面を迎える可能性が高いとみられる。
(2022年10月15日号掲載)