㈱セアール(東京都江戸川区東小岩、松浦保社長、☎03-3658-2100)は、ステンレスなど金属板を基材とする粘着シールの製造技術を開発。6月13日、特許を取得した。新技術によるシールは、すでに共同出願した大手玩具メーカーの商品に採用されている。
同社では顧客の玩具メーカーから「商品のリアリティーを高めるため、金属を用いた装飾シール」との要望を得て、製造方法を模索。極薄で硬質なステンレス板を基材とするシールの製造技術を開発した。
同技術で製造した装飾シールは、粘着塗工された金属板に高精細な全抜き加工を施している。最大の特徴は、装飾に必要な金属パーツの周囲が全抜き加工されているにもかかわらず、それを支える“つなぎ部分”が存在しない点。このために金属パーツは周囲から独立して「宙に浮いている状態」に見える。しかし実際は、装飾シールの裏と表面に透明フィルムの剥離紙を貼り合わせており、金属パーツを挟んだ状態で保持している。
装飾シールの製造方法は次の通り。①金属板の片面に腐食液で板の厚み半分だけを抜く②金属板の腐食面へ耐酸性のあるPETベースの粘着シートを貼り合わせる③腐食で厚みが半分となっている金属板の裏側からその箇所をさらに腐食させ、貫通することによって全抜きする④金属パーツ部分のみスクリーン印刷で粘着剤を塗工する⑤粘着剤が塗工された面へPPベースの剥離紙を貼り合わせる。
新技術を用いた装飾シールは今後も、玩具としての採用が決定している。なお同社では今後も、同技術に新たな加工を施した装飾シールの開発を推進。松浦社長は「まったく異なる分野の技術を融合させることで、今後も新たなシール製品を開発したい」と抱負を語っている。
〈写真〉玩具の装飾パーツとして採用実績も。金属ならではの輝度が表現可能に
〈写真〉全抜きされているが“つなぎ部分”がなく、まるで「宙に浮いている」ように見える
(2022年7月1日号掲載)