日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO・小林栄三センター長)が展開している「日本酒の輸出用標準的裏ラベル制作システム」の採用件数が増加傾向。2021年4月のシステムリリース以来、複数の酒蔵から支持されている。
海外の消費者に向けて日本酒の特徴を示す「標準的裏ラベル」は、2019年8月にJFOODOと国税庁が共同で開発したプラットフォーム。海外の店頭や消費者・有識者らへの調査をもとに、味の濃淡、風味、合う食材などについて、ワインを選ぶ際と同じような項目を英語表記で日本酒の裏ラベルに表している。
21年4月には、ウェブ上の専用フォームに必要事項を入力するだけで標準的裏ラベルを専用ソフトなども使わないで作成できるクラウドサービスを開始。作成された印刷データはPDFなどの形式で印刷会社へ入稿したり、自社内の複合機でシール用紙に印刷したりといった出力に対応している。システムはJFOODOが発行するログインIDを使用して、国内の酒蔵や海外のインポーターが無料で利用できる。
日本酒の輸出額は、20年で約241億円。11年連続で過去最高を更新しており、コロナ禍でも前年比3.1%増と堅調に推移している。しかし、フランスのワインは同年で約1兆1500億円の輸出額を記録しており、大きな隔たりがある。JFOODOの担当者は「海外の和食店で日本酒を飲む人は一定数いるがそれだけでは広がりがない」とし、和食以外の飲食店や家庭といった市場の開拓が必要としている。
そこで、最適な提供温度や保存方法、酒蔵のストーリーなども英語で伝えられる標準的裏ラベルを活用し、海外の飲食店や消費者に対して日本酒を選びやすくさせる狙い。コロナ禍で国内の飲食店向けの出荷が減少したほか、インバウンド需要も見込めない状況下、輸出に期待を寄せる酒蔵で採用が広まっている。
〈写真〉「標準的裏ラベル」の作成システムは採用件数が増加傾向
(2021年9月1日号掲載)