QRコードと独自ホログラムで、偽造防止と情報提供機能を併せ持つ“VOID”シール「セキュリティタグ」の開発を行う日本流通管理支援機構㈱(東京都世田谷区北沢、佐野正登社長、☎03-6869-6853)。同シールは、日本青果物輸出促進協議会(小栗邦夫会長)に提供された。これにより、同協議会が推進する国産果実ブランドの確立を目指す取り組みに一役担う。
セキュリティタグは、1枚ごと個別の識別番号、ホログラムで生成されるラベル「HiddenTag」にQRコードを組み合わせたもの。これまで日本流通管理支援機構は、模倣品被害が広がっている高級化粧品や美容雑貨などを中心に、セキュリティタグの提供を行い正規品証明に努めてきた。
QRコードには製品情報のほか、入出荷日や流通先を管理する独自アプリケーションを紐づけている。また、スマートフォンなどの端末から正確な位置情報を測位。同時刻帯に複数の遠距離な場所でコードがスキャンされた場合は、商品の模造品が市場に出回っている可能性が高いという。
今回、同社がセキュリティタグを提供したのは、日本青果物輸出促進協議会。高品質な国産の青果物でありながらも、輸出先の海外では産地や価格を偽り販売されてしまうことさえあるという。国産品のブランド価値向上を図るべく、同協議会は、農林水産省補助事業の「分野・テーマ別の海外販路開拓等への支援強化事業」に採択。食品などの輸出を支援する展示会で出会った同社に、セキュリティタグ提供の依頼があった。
日本流通管理支援機構は、HiddenTagに同協議会のロゴ「日本産果実マーク」をデザインに加えて作成するに至った。
デザインのほか、同協議会から求められた機能として特筆するのが、タグを剥がした際に“VOID”の痕跡が残る「VOIDシール」を採用したこと。セキュリティタグを商品の容器や包装袋へ貼付しても、輸出先で剥がされてしまうケースがあるためという。
さらに今回採用に至ったQRコードに紐づけたのは、生産者や同協議会の取り組みを知らせるページ。QRコードを読み取った消費者は、生産地の情報を得て購入の足がかりとするほか、バイヤーがQRコードを読み取り、国産品であることを確認すれば、スムーズな取り引きの誘因につながるようだ。
佐野社長は「セキュリティタグを活用することで、商品を生み出す人のモチベーション維持にもつながるだろう。せっかく新製品や新たな品種を開発できたとしても、勝手に模倣し販売されてしまえば、開発時間が無駄になってしまう。正規品証明の機能を生かすことはもちろんだが、丹精込めて手がけた高品質なものをより多くの人へ届けられるよう、QRコードによる情報提供を活用してもらいたい」とセキュリティタグ運用の利点を語る。

〈写真〉QRコードに情報を紐づけ販売を促すことに加え正規品認証を行うラベルが組み合わされている

〈写真〉痕跡残す「VOIDシール」採用


〈写真〉専用アプリで正規品認証を行う
(2021年9月1日号掲載)