昆虫を中心として、川に生息する生き物にまつわる研究・イベントを手がけるインストラクターの青真さん。幼少のころから続く趣味が高じた仕事の影響もあり、48mm角のおまけ風シールを製造販売し、生き物の生体や個体の構造などを表現している。生き物の特徴を捉えることで、ホログラムやレンチキュラー、蓄光など、特殊加工によって作品の幅が広がるという。そんな青真さんの、シールを製造するようになった経緯やこだわり、今後の展開に迫った。
青真さんが48mm角のおまけ風シールで生き物を表現するようになったルーツは、幼少期から続く昆虫好きや点描による細密画、大学での研究がある。現在では、自然教育事業を行う傍ら“駄画紙”の屋号で手がけたシールを販売している。シールには、表面のイラストを描くほか、裏面に説明書きや経験則に基づく豆知識を加えるなど、工夫を凝らす。
シールの製造に関しては、自前のオンデマンドプリンタで出力後、剥離紙やフィルムを貼合させるほか、おまけ風シールの特殊加工が得意な会社へ外注するなどさまざまだ。青真さんは「特殊加工を伴う作品を自身で手がける場合は、複数枚のシートを貼り合わせる必要があるため、厚みが増してしまいがちになる。ホログラムや箔押し加工を施す際の白・黒引きなど、作業の効率性も考慮した結果、外注するようになった」と述べる。
▲レンチキュラーでカブトムシの変態を表現した(上)。ホログラムによる特別仕様のほか裏面にイラストも
これまで青真さんは、昆虫をはじめ外来生物や多摩川の生き物などをテーマに作品を手がけてきた。このうちカブトムシやクワガタなどでは、幼虫・蛹・成虫の変態の過程を1枚のシールで表現するべく、レンチキュラーを活用。シールを上下左右に傾け見方を変えれば、3通りの絵柄が順番に現れる仕組みだ。そのほか、光を放つホタルの特質さを表現するのに蓄光シートを用いたり、ホログラムで生き物の目の輝きを表したりなど、多彩なアイデアやノウハウを備えている。
▲ホタルの生態をとらえ蓄光タイプにした
青真さんは「シールは子供から大人まで幅広い層に興味を持ってもらいやすいツールだと認識できた。特定種類の生き物グッズを求めて遠征に来た子供がいて驚いたほどだ」という。販売を行う中で気づいた点として、シール裏面に解説文だけでなくイラストを入れると、子供により興味を持ってもらいやすくなるとしている。
おまけ風シールによって、生き物の生態を伝え、表現の幅を広げている青真さん。今後の展望としては「刺激を与えると臭いを発するなど、見た目だけにとどまらない虫の特徴を表現したい。特殊加工、複層式といったシールの製造方法はまだまだ存在すると聞く。多くのラインアップを揃え、自前のオンラインショップを開設できれば」と期待を語った。
(2021年8月1日号掲載・「貼り」のある暮らし 夏の拡大SP・消費者、メーカー編)