▼画面越しの乾杯が板についてきたか。通販ショップや飲食店では、料理と酒を組み合わせた宅配サービスが需要を伸ばす。幹事がセットを注文すると、会合の当日までに参加者それぞれの自宅などに同じメニューが届く仕組みだ。遠隔地でも同じ食卓を囲む雰囲気が味わえる。そんなセット品の中には、香辛料や特産物などが副原料で、多品種展開するクラフトビールの姿も目立つ。個性を際立たせる色鮮やかなラベルが、会話に華を添える
▼1990年代、ビールの年間最低醸造量が大幅に引き下げられたのを機に、全国各地に広まったクラフトビール。醸造家たちは「薩摩」「越後」「多摩」など江戸時代から使われていた名称を銘柄にしたり、ラベルデザインで土地の歴史を連想させたりなど、土産品の需要を開拓した
▼また2018年の酒税法改正では、ビールの定義を変更。麦芽の使用割合や投入可能な副原料が見直され、本来は「発泡酒」だったクラフトビールの多くが「ビール」と表記されるように。投入量にもよるが、胡椒、シナモン、カボチャ、蜂蜜、かつお節などビールとして使用可能な副原料が拡大している。醸造家は“同一ブランドでも異なるフレーバーを使っていることをラベルデザインで訴求したい”と語る
▼とあるラベル印刷会社では、体重や1日のたばこの本数を減らした従業員に対して、賞与へ反映する意向だという。コロナ禍で自身の健康管理を見直したトップ自らの発案だ。「従業員の健康維持で仕事が止まるのを防ぎたい」と話す。新型コロナウイルスが人々の生活を脅かすようになって2年余り。依然として、アクリル板や画面の向こう側に行けない我慢は続く。新常態化したルールを守りながら、働くモチベーションを上げる各社ならではのスパイスを効かせ、膝を突き合わせられる春の訪れを待ちたい。
(2022年2月1日号掲載)