食品衛生法等の一部改正が今日から施行。食品用の容器包装や器具について、安全性を評価した物質のみが使用されることとなった。包装関連分野でも、すでに改正法への対応に向けた動きが進んでいる。
一部改正の背景には、食品用の容器包装や器具に関して、安全性確保や規制の国際化に伴う整合性が挙げられる。これを受けて厚生労働省では、規格が定まっていない原材料を使用した容器包装・器具の販売や取り扱いを禁止。ポジティブリスト制度に基づき、安全が担保された対象物に限り使用できるといった改正を行った。
ポジティブリスト制度の対象範囲は、合成樹脂の原材料となる基ポリマーおよび添加剤・塗布剤。合成樹脂の製造中に、最終製品への残存が意図的なものはポジティブリストとして管理される必要があると定めた。
容器包装や器具の製造事業者は、製造管理規範に基づき▽原材料の確認▽製品の規格基準への適合確認▽製造記録の保存、などが求められる。また、ポジティブリストの適合性が確認できる情報を容器包装や器具の販売事業者、さらには食品製造・販売事業者へ提供する。容器包装や器具の製造事業者は、ポジティブリスト適合性を確認するため、関連の原材料メーカーへ情報提供を受ける必要がある。
なお、国はポジティブリスト制度に沿ってリスク管理を行い、事業者の把握や指導、さらには輸入品の監視を担うとしている。
ラベルの関連が想定される点では、食品に直接接触する面がラミネートやニスなどの合成樹脂層で形成される場合、たとえ基材が紙系であっても制度の対象となる。また、食品に接触しない「中間層」において、インキや粘着剤などを含む合成樹脂に使用される物質が一定量を超えて食品に移行しない場合、個別でのポジティブリスト収載は必要ないが、厚労省では「一定量を超えて食品に移行しないための適切な製造管理」を求めている。
対象となる合成樹脂の原材料は、厚労省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000625490.pdf)に記載されている。
(20206月1日号掲載)