印刷業界向けに技術情報の提供などをしているスミザーズ・ピラ(Smithers Pira、英・サリー州)はこのほど、「2023年までのインクジェット(IJ)印刷の将来(The Future of Inkjet Printing to 2023)」と題した調査レポートを公表した。IJ印刷の世界市場は、2023年に対前年比9.4%増の1億900万ドル(119億9,000万円)が上乗せされ、総市場規模が1,000億ドル(11兆円)に急成長するとした。同時期における印刷業界全体の成長率が0.8%と見られるのと比べて好対照な状況となる。
同調査レポートは、印刷機メーカーや関連資機材、印刷会社など業界関係者からの聞き取りと、印刷関連の媒体、会議資料及びスミザーズ独自の調査資料を併用してまとめた。
それによると、IJ印刷の2018年における世界売上は696億ドル(7兆6560億円)に達し、総印刷量はA4サイズ紙換算で7,490億枚としている。その中で、インクの使用量と支払額は、10万3,700トン、87億ドル(9,570億円)、IJ印刷の関連装置への新規投資は36億ドル(3,960億円)となった。
2023年に向けては、IJ印刷の最大の使途は広告分野とみられものの、ラベルと軟包装分野、書跡、一般商業印刷分野が急成長する一方、3D印刷、自動車及び輸送機器分野、テキスタイル印刷への拡大が引き続き模索されるとみている。
スミザーズのコンサルタントであるショーン・スミス博士は「IJ印刷は、IJヘッド、印刷機構、インクそのものなどへの多額の投資が続けられた結果、従来印刷よりも経済性と信頼性が高められた。今後は、従来印刷の需要市を取り込むだけでなく、新しいルートやワークフローが開発される」とコメントしている。