電池業界向けの組み立て装置や研究実験設備などを販売している宝泉(株)(大阪市中央区南船場、田川和男社長)は、デスクトップ塗工機「HSCM-MJS02」の他分野への訴求を進めている。
同機はロール・ツー・ロールのナイフコーターで、搬送速度は毎分72〜1800ミリ、標準機で本体サイズが約1000(W)×1527(D)×845(H)ミリとコンパクトな設計。基材幅は200ミリ、塗工幅は170ミリまで対応しており、それ以外のサイズに対しては、熱風乾燥方式の乾燥炉の長さと併せ相談に応じてカスタマイズできる。
搬送や塗布制御はアナログ機構のため、調整・修理が容易に可能。大型の塗工機が「導入コストが高い」「マシンのパラメーター設定・清掃が煩雑」といった理由で苦手とする少量の加工を得意としている。
リチウムイオン電池の電極塗工で多数の導入実績があり、厚さ数マイクロメートル〜数十マイクロメートルの金属箔に数十マイクロメートル〜200マイクロメートル程度の塗工膜を形成可能。
フィルム・紙へ粘着剤を塗工した実績はないが、活性炭を用いた排ガス処理装置を接続した試験機を大阪の工場に設置しており、塗工テストには積極的に応じるとしている。東京営業部兼海外営業部部長の酒井大輔取締役は「接点を持っていなかった分野だけに可能性は未知数だが、精密加工が求められる電池業界で築いたノウハウをラベル業界でもお役立ていただけるのではと期待している」とコメントする。
粘着剤の塗工で懸念される点について、東京営業部の田川册夫係長は「溶剤系、水系バインダーを金属箔へ塗工する実績は多数持っているが、フィルムや紙への搬送に関しては、電池業界と異なるノウハウが求められるのではと考えている。そのため、搬送システムを扱っている企業との協業も視野に入れて、ラベル業界へ訴求していきたい」と展望を話す。
ラベル業界の企業と協力し粘着剤の塗工テストを経て調整を重ね、新領域への発展を見込む同社。異業種との協業で生まれる相乗効果が注目される。
塗工テストに関する問い合わせは本社(TEL06-6253-2600)、または東京支店(TEL03-3263-0520)まで。
(2018年3月1日号掲載)