静岡文化芸術大学デザイン学部の小浜朋子准教授とNPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会(伊藤裕道理事長)は現在、高齢者参加型の「高齢社会のQOL向上に向けた調査」を実施中。9月26日、墨田区立川の立一会館で「新聞の読みやすさ評価」に関する調査を報告した。
調査方法は62歳から82歳までの高齢者27人に、サンプル5紙について設問を5段階で採点する感性評価とした。その際、新聞が読みやすいと感じる照明の明るさの最大値と最小値を「昼白色」「電球色」でそれぞれ確認した。
小浜准教授は、設問(1)1面をぱっと見た印象(2)1面記事の内容を読んで文字の評価(3)テレビ欄を見ての感想、の調査結果をグラフ化して参加した高齢者らへていねいに説明。調査用紙の備考欄に記された被験者個々の意見や感想を読み上げる小浜准教授の解説に耳を傾け、コメントに同調して頷く姿も見られた。
同氏は「UDフォントを使用したものは一定の『見やすい』との評価を得ており効果が分かった」「UDフォントにも『太め』『細め』があり、室内の明るさが高まると細めが読みにくくなるようだ」などと総括した。
小浜准教授とMUD協会の両者は今後「くらしのUD研究会(仮称)」として、引き続きUD配慮の効果を検証する実態調査を実施する方針。なお次回は、防災食を対象とした食品パッケージのデザインについて調査を行う。
(2016年10月1日号掲載)