日曜日, 7月 20, 2025
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ハイ・アングル(2025年7月1日号掲載)

▼30年前の今日1995年7月1日、東京と北海道でPHSのサービスが始まった。日本発の低出力・短距離型通信サービスは、都市部の若者やビジネス用途で急速に普及。「ピッチ」の愛称が女子高生から生まれたように、安価な通話料金と端末価格の小さな電話が若者に浸透した

▼PHSは通信手段だけにとどまらず、当時の文化やコミュニケーション手段にも影響を与えた。「Pメール」などのSMS機能で文字の送信が可能に。当初20~100文字と短文だったため、簡潔な表現に工夫を凝らしたもの。半角記号を組み合わせた「顔文字」文化も、字数制限のある中で感情を届ける手段として生まれた

▼「ラベルは社会網」。今号中面で、経営者はラベルが本来有する社会的機能をこう表現した。人と人をつなぐ網のような存在であり、作り手のメッセージを生活者に伝えるネットワーク手段そのもの。時代は移りコミュニケーション手段は多様化しても、社会網を担うという矜持は持ち続けたいと説く

▼しかし直上の通り、24年度粘着紙出荷量は3年連続のマイナス成長を記録。足踏みはさらに長期化している。ラベルは社会網としての機能を果たさなくなったのか。別の何かが伝達の代役を果たし出したのか

▼今ではスマホに標準搭載されるカメラ機能。これのルーツもPHSだ。声からメール、写真へコミュニケーション手段は発展したが、カメラ機能は写真を撮って届ける以外に「QRコードを読む」役目も。中面にはラベルに可変QRを刷り小規模キャンペーンを運営からすべて引き受ける、ラベル印刷会社の挑戦も

▼仮想と現実の空間をつなぐトリガーとしてのシール、これも社会網だ。この先”つながる”はより進化をとげる。その時ラベルは誰を、何と、どうつなげるか。社会網というソーシャルネットワークを支える者の真価が問われる。

(2025年7月1日号掲載)

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