▼観測史上初めて前震、本震とも震度7を同一地域で記録した熊本大地震から10年。活断層型では国内最大クラスで、橋の崩落や道路・鉄道の寸断が生じた。にも関わらず、当時の本紙調査では震源地である複数の熊本のラベル印刷会社が本震から3日後に操業を再開している
▼救援物資を届けてくれた取引先に安否を気遣う得意先、そして復興に最も必要な仕事を途切れさせまいと代役を買って出る仲間。差し伸べられた手に「心から感謝している」と当地からの御礼の声が綴られる。そして「エリアメールと余震が止まない中、深夜も早朝も命がけで機械を調整してくれた“勇者”に一生頭が上がらない」との感謝の言葉が胸を突く
▼あれから10年。日本を、世界を取り巻くエネルギー環境は極めて不透明で不安定に。原油はホルムズ海峡で寸断され、世界経済に暗雲が垂れ込める。今号記事の通り、一部資材メーカーは今後の供給に対する書簡を発表し始めた
▼シール・ラベルはサプライチェーンの一角、包装を担う。顧客から今後、不測の事態を憂慮した積み増し要請の増加も想定される。今望まれる行為は、市中の在庫をかき集める誠意にあらず。「当社に任せてください」。代替案を提示し、時に事実を受け容れ回避措置でともに乗り越える、緊張を安心に変換するプロフェッショナリズムだ
▼今高値で売り抜ける真似はしない、恩を売り乗り換えを促す真似もしない。困っている目の前のお客さまのため、普段は競合でも今は手を組み乗り越えてみせる覚悟がある。見えない恐怖や目先の甘言に耳を貸さず、その後を想定した今を振舞うメーカー担当者がいる
▼こうした市井の勇者の行動を後世に伝え残すのが本紙の役割。技術と知見、プロフェッショナリズムを発揮するのは今だ。未知の混沌に挑む一人一人の選択が未来を創り、感謝の言葉を紡いでいく。
(2026年4月15日号掲載)





