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ハイ・アングル 2015年6月15日号

「シンギュラリティー」なる言葉を耳にするようになった。人間の能力が2045年にはコンピューターに追い抜かれ、技術開発や進化の主役を譲り渡す限界点のことだという。SFのテーマとしてはもはや古典的な内容だろうが、それが30年後だと言われると、妙に現実味を帯びてくる▼荒唐無稽な絵空事だと笑い飛ばせないのは、人間が担ってきた仕事が機械や技術で置き換えられる例が身近に増えてきたからだろう。駐車支援や追突防止に感心していたのもつかの間、クルマは運転不要の、まさに「自動車」となりつつある。正確無比に休まず働くロボットアームがさらに普及すれば「機械貼りしづらい少量多品種だから」と、人海戦術でラベルを手貼りするブランドオーナーに会うことも減っていくのかもしれない▼このほど上方修正が発表された今年1〜3月期のGDPは年率換算でプラス3・9%。けん引役となったのは長く手控えられてきた設備投資で、個人消費の伸びはわずかだ。賃金が理由なのは明白で、上昇基調にあるとはいえ前年比1%増にも満たない鈍さだ。生産現場に訪れた活況がいずれ家計に恩恵をもたらすのか、それとも自動化設備が働き手を疎外していくのか。予断を許さない状況といえる▼30年後、進化を極めた人工知能が消費を始めるのか、そのとき見た目のよしあしまで判断するようになるのかは分からない。しかし、技術革新の成果に日々触れている人間側が、圧倒的優位に立つ審美眼をさらに進化させていることは疑いない。商品のわずかな色調、素材感の違いが売り上げを左右し、多様な光る素材が引っ張りだこになっている理由を「テレビとスマートフォンの解像度・再現性が向上したから」と分析する向きもある。この先いかなる時代であれ、ユーザーは目を楽しませ、心に訴えるラベルを切望し続けるはずだ。

 
 
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