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機械式駐車場に注意喚起 消費者庁・国交省、シール57万枚を発注

消費者庁国土交通省は、国内に設置されているすべての機械式立体駐車場を対象に、事故防止の注意喚起シールを作成する。A5判のシール19万シート・57万枚の印刷加工について6月4日㈭正午まで入札を受け付け、装置メーカーの業界団体を通じて7月から各駐車場の操作盤に貼付を開始。10月末までに作業を終えるとしている。

貼付されるシールのサイズは縦9・5×横6センチ。「大型装置用」(合計3万枚)と、「二段・多段方式用」(同54万枚)で、それぞれ3種類を準備する。目に付きやすい赤を多用したフルカラーのデザインを採用、各方式の特性に合わせて「運転者以外は中に入らない!」「他人の鍵が挿(さ)してあるときは操作しない!」といった注意事項をイラスト付きで表現している。

比較的長期間にわたる使用が見込まれることから、シールの仕様にも耐久性を要求しており、表面基材はPVC80㍃㍍、印刷は耐候インキ使用、さらにPETラミネート加工を行うこととしている。粘着剤は弱粘タイプが指定されている。

機械式立体駐車場の安全対策について国交省が昨年3月にまとめた報告書によると、国内には機械式駐車装置が約54万基(2013年3月末現在)設置されており、07年度以降、少なくとも26件の重大事故が発生。このうち10件では死者が出ている。

これらの事故は主に、運転者がみずから装置を操作するマンション駐車場で発生している。ただ一方で、専門の係員が操作する時間貸し駐車場から出庫しようとした運転者の死亡例もあり、施設の運用形態に関係なく重大事故のリスクが潜む状況といえる。また、事故の発生状況からは、不注意による転倒・転落のほか、装置内に人がいる状態での機械操作、作動中の駐車装置への接触などが原因になったとみられている。

こうした実態を受けて、消費者庁と国交省は昨年6月、イラストを交えて注意事項をまとめたポスター35万枚を作成。業界団体の㈳立体駐車場工業会や自治体を通じて掲示を呼びかけたが、掲示場所の不足や、対象施設の管理者が掲示物を許可しないなどの理由から徹底されなかった。

さらに「単にポスターを掲出しただけでは効果が薄い」(消費者庁消費者安全課)とも判断。駐車装置を動かすたびに必ず目にする操作盤に貼付できる小型のシールに切り替えることで、表示場所を確実に確保するとともに、注意喚起の実効性を高める。

なお、駐車装置には、すでに多くのメーカーが禁止事項などを知らせる警告ラベルを貼付しているが、これらは製造物責任法(PL法)への対応などを目的に、各メーカーが自主的に行う取り組みと位置づけられている。今回のシールには法的な根拠や拘束力はないものの「警告ラベルによる表示が不十分な装置はもとより、既存の表示と重複する場合でも、国として表示をお願いしていく」(同課)としている。

完成したシールは、同工業会を通じてメーカーに配布。定期点検などに併せて貼付が進められる見通し。

 

(2015年6月1日号掲載)

 

 

 

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