(株)日立ハイテクネクサス(本社:東京都港区、小熊 肇取締役社長)は2024年1月30日、垂水市漁業協同組合、株式会社萌す(本社:沖縄県糸満市、取締役社長:後藤 大輔)と連携し、『カンパチの付加価値を上げる鮮度保持に向けた実証試験』を開始すると発表した。同実証実験を通して、End to Endでの商品の最適なコールドチェーンを構築し、農林水産物や食品業界の社会課題解決に貢献していく、としている。
同実証試験には、(株)日立製作所と(株)日立ソリューションズが開発した温度検知QRコードラベルによる温度管理サービス『MiWAKERUⓇ』を活用する。
同実証試験は、鹿児島県の『令和5年度かごしまのさかな稼ぐ輸出応援事業』を活用し、垂水市漁業協同組合で水揚げされた養殖カンパチが現地の飲食店に到着するまでの間、コールドチェーンを維持した最適な輸送品質の構築をめざすもの。
主な検証内容は次のとおり。
1.End to Endでの温度モニタリング
貼り付けた対象物そのものの温度を検知する『MiWAKERUⓇ』の温度検知QRコードラベルをカンパチに貼付し、カンパチ自体の温度検知を行う。また、商品ケース内外に温度ロガーを設置し、カンパチ周辺の環境温度も測定する。個品単位からコンテナ単位に至る広範囲で厳密な温度モニタリングを実施し、輸送品質の見える化を実現する。
2.最適な輸送品質の構築
従来、輸送時の温度モニタリングに使用される温度ロガーは、コンテナ内や商品ケース内の空間温度をトレースするが、『MiWAKERUⓇ』の温度検知QRコードラベルは、温度管理対象物そのものの温度を検出し、細部にわたり輸送品質(管理温度からの逸脱がないこと)の見える化を実現する。これにより、過剰もしくは過少冷却されている可能性も考えられるコールドチェーンの実態を把握。商品ケースに投入するカンパチ、保冷剤の最適入り数を見極めることで、最適な輸送品質を構築し、カンパチの付加価値向上を図る。
3.輸送コストおよび環境負荷を低減
最適な輸送品質を構築することで、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットの一つとして掲げられる食品ロスの低減に繋げるとともに、保冷剤の最適入り数の見極めにより、輸送コスト、到着地での保冷剤廃棄量、CO2排出の削減効果を検証する。
温度検知QRコードラベルによる温度管理サービスについて
【『MiWAKERUⓇ』の構成技術】
① 管理温度を逸脱すると色が変化するインクを付与したQRコードラベル:「温度検知QRコードラベル」
② 温度検知QRコードラベルを読み取り、解析するモバイルアプリ:「温度検知ラベルスキャナ」
■各社の役割分担
(株)萌す:カンパチの輸出、実証試験推進
(株)日立ハイテクネクサス:構想立案、実証試験推進、『MiWAKERUⓇ』の提供
(株)日立製作所 研究開発グループ:構想立案、実証試験推進、『MiWAKERUⓇ』の開発
(株)日立ソリューションズ:『温度検知QRコードラベル』のデザインとモバイルアプリ、『温度検知ラベルスキャナ』の開発、提供