▼例年にない熱気に包まれたブリュッセル。世界各国からラベル業界人が「ラベルエキスポヨーロッパ」へ集結し、会期中はいたるところで製品紹介や意見交換など熱論を交わす姿がみられた。9月の同地は最高気温20度ほどと比較的過ごしやすい気候のはずが、連日30度超えが続いたことも展示会熱に拍車をかけた
▼欧州経済がパンデミックを経て激変する中、あまねく産業と関わるラベル業界も対応に追われている。これまで以上に製造体制の最適化による機器の安定稼働や利益率の改善へ向けた機運がヒートアップ。さらに直近では、デジタル印刷＋加工ソリューションを導入してラベル分野への進出を目指す欧州の商業印刷会社なども台頭。サプライヤーサイドでも、他分野の印刷畑で蓄積してきたノウハウをラベル分野で発揮しようと情熱を燃やす初出展者の提案も目立った
▼新規参入の過熱は、ラベルが他アプリケーションと比べて魅力的な市場と映っていることの証明。事実、ラベルはパンデミックに伴うロックダウン時にも根強い需要を示し、社会にとって必要不可欠な仕事として印刷現場の操業が認められていた。他方、新規参入と社会情勢の激変を受けて既存のプレーヤーはいかに差別化を図り付加価値を作っていくか。エキスポ会場には解を求める人々が詰めかけ白熱した
▼出展者への取材時、日本の専門紙であることを説明すると「高水準なラベルを手がける日本市場には高いポテンシャルを感じている」と、社交辞令も含まれるだろうが、少なからぬ関心を寄せられた。関心の高さゆえか、片言の英語でも熱心に取材へ応じてもらえ、ラベルの価値と将来性を熱弁する声を記録できた。日本のラベル業界を盛り立てていただいた先達に感謝を申し上げるとともに、せめてもの恩返しとして、現地で発せられた熱意を持ち帰り報じたい。
（2023年9月15日号掲載）
