農林水産省の「介護食品のあり方に関する検討会議」(葛谷雅文座長)はこのほど、介護食品のかみやすさや飲み込みやすさなどに関する基準と表示のルールをまとめた。
同検討会は2013年10月に発足し、介護食品の定義や認知度向上、提供方法などに関して議論を重ね、新たなガイドラインの策定を目指してきた。ガイドラインでは介護食の呼び方を「スマイルケア食」とするなどの呼称の統一もあり、農水省は表示ルールの統一とともに広めていく構え。
新表示ルールでは、表示方法を「かみ方」や「形状」などで7つに区分しており、この内容をアルファベットと図形、色で記号化している。弱い力でかめる食品は「四角の中にA」、歯茎でつぶせる食品は「ひし形にB」、ペースト状の食品は「角にRがある四角にA」などと分けられており、色も青、黄、赤で区別されている。
これまで、介護食品の主な区分は「嚥下調整食分類」や「食ピラミッド」「ユニバーサルデザインフード」などが混在してきた。このため医師や薬剤師、ケアマネジャー、栄養士、小売店舗、消費者でそれぞれ呼称や区分が異なり、お互いの区分を理解していない場合、混乱の原因となることもあった。さらに介護食品の認知度も低く、その分野を選んで買うことが困難であるという指摘もあった。
これらのことから、区分の統一と名称の変更による認知度向上は急務とされており、一連の検討会議を経て今回の発表となった。
農水省の担当者は「消費者からは、一時的に家族や自分がかむことや飲み込むことがしづらくなった時などは、介護食だと買いづらいとの声があった。スマイルケア食という名称がつくことで、買いやすく、カテゴリーの認知度も高まると考える。また区分の統一により、ユーザーフレンドリーな環境になるだろう。この区分の訴求には、売り場でのPOP掲出を行いラベルでの区分なども考えられる」と今後の展開を話す。