東京都足立区では今月から、区営駐輪場のうち6カ所で「自転車盗難防止ナビシステム」の社会実験を行う。現在、参加希望者を募集しており、順次運用を開始する。実験では利用者の自転車にRFIDを搭載したバンドを取り付け、駐輪場の入退出管理を強化。防犯カメラなどと連動した監視により、自転車盗難の抑止を目指す。自治体が取り組む自転車盗難対策で大規模なRFIDシステムが採用されたのは今回が初めて。
同事業の対象者となるのは区営駐輪場の利用者。先着で約5000人の希望者へ、ハンドルに無償でRFID搭載のバンドを装着する。すでに6カ所の駐輪場の出入り口付近には、入退出を感知するアンテナも設置した。
この実験で使用するのは、駐輪場の運営などを行っている㈱ソーリン(東京都足立区六町、野村一也社長、☎03・5856・4647)が開発したシステム。バンドとアンテナよる監視で、正確な入出庫時間を把握でき、万一盗難に遭った場合でも出庫時間を特定し、防犯カメラから容疑者の映像を割り出せる。このため、迅速に警察へ届け出ることが可能。従来はおおよその犯行時間を推定し監視カメラの映像を再生しなければならなかったため、証拠を届け出る際に大きな負担となっていた。
バンドには特殊な粘着剤を使用し、無理やり剥がした場合は「盗難車」の文字がハンドルに転写されるなど、発見を早め、転売を防ぐ工夫も施される。利用者は名前や住所、電話番号などの登録が必要で、これらをタグにひも付けする。
ソーリンでは自転車管理者専用アプリも開発しており、管理者が専用リーダーでタグの情報を読み取れば、ブルートゥースを介しスマートフォンなどで、その自転車が盗難車であるかを即時に判別できる。
(2015年3月1日号掲載)