2000年1月、全日シール連10番目の組合組織として、シール印刷四国協同組合は誕生した。設立発起人6社を代表し、初代理事長に就任した大浦晃氏は、設立総会に出席した組合員26社を前に「組合設立は十年来の夢。ラベル産業の次世代のために尽力したい」と志を語った。あれから15年。同協組は本年度末をもって解散する道を選択した▼不運もある。運営の中核を担う組合員企業による倒産や廃業、脱退が相次いだ。発起人企業のうち、残ったのは2社。組合員数も10社まで減少していた。大浦氏の志を引き継いだ二代目の原眞治理事長も組合運営に尽力したが、予算的・人材的に「次世代のため」の事業活動に困難な状況が続いた。これを受けて今年1月、設立前に四国支部として加盟していた大阪協組と全日シール連に現状を報告。解散の方向で調整が進み、2月の臨時総会で正式決定するに至った。最も新しい組合は、最も早くその使命を終えた▼江戸期、長州藩では藩校・明倫館を運営していた。幕末、長らく天下泰平をした徳川の世を揺るがす欧米諸国に対し、同校出身の吉田松陰は時代の変化を正確に理解。明倫館とは異なる「列強に負けない次世代のため」の人材育成を志し、松下村塾を設立した。やがて迎えた明治維新では、同塾生が活躍し、わが国の近代化に大きく貢献した。松陰は維新を臨むことなく世を去ったが、その志は確実に次世代へと伝わった▼業界団体は今後、著しく変化する時代の流れに対応するための改革が重要となるだろう。デジタル化やマーケティング能力、新技術・新製品開発…。これらに対応できる人材育成に努めなければ、ラベル産業の発展はありえない。無念にも四国協組は解散となるが、設立に奔走した人たちの志をつなぐためにも、9協組は直面する課題に対し、に取り組んで欲しいと願う。
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