富士通は5月14日、同社開発の新RFIDラベルが、エアバス社の航空機部品管理に使用する「RFID Integrated Label」の商談権を獲得した、と発表した。これにより、エアバスの主要な航空機部品に同社の新RFIDラベルが貼付されることになる。
このプロジェクトは、エアバス社におけるすべての航空機の製造段階から、主要な航空機部品の一つ一つにRFIDラベルを貼付し、部品の個体管理と正確なトレーサビリティーを実現する、というもの。富士通は、従来品よりも柔軟性や薄さを強化した新RFIDラベルを提供する、としている。
エアバス社は、航空機部品のサプライチェーンの透明性、可視性を強化するために、2009年に、最新鋭中型機「A350 XWB」の航空機部品にRFIDラベルの適用を開始。12年10月には、全エアバス機へと適用対象を拡大した。さらに13年1月には、「エアバス RFID Integrated Label」プロジェクトに着手し、銘板からトレーサビリティ性の高いRFIDラベルに置き換える方針を決定した。同プロジェクトの採用により、エアバス社と航空機部品サプライヤーは、航空機部品個々の製造情報や整備情報を確認することができるようになる。また、保管情報や在庫も常に正確に把握できるため、ベストな部品補給が可能となり、リードタイムの短縮や重複調達削減なども実現できる。
富士通研究所の技術により開発した同社の新しいRFIDラベルは、品質要求が厳しい航空機部品に適用されるSAE AS5678規格と、航空業界の標準データフォーマットである「ATA Spec 2000 standard Ver. 201」に準拠。メモリサイズは、1キロバイトと8キロバイトの2種類、大・中・小の3サイズを展開し、かつ金属・非金属にも対応することで、数百社に渡る全世界の部品ベンダーの要求に柔軟に対応することが可能。リーダの読み取り距離は約1.5メートルで、アメリカやヨーロッパのRFID周波数帯域に準拠している。
なお、同社は、同RFIDラベルについて6月1日から販売を開始する、としている。