▼相次ぐ豪雨に猛暑日と、異常気象の脅威が続く。人命はもとより、ものづくりの現場や物流を守るための備えが求められる。ラベル業界としても直接的な被害に加え、ラベルの被着対象である農作物の生育、工業製品のラインへの影響といった懸念事項が山積
▼気象条件に限らず、急変する経営環境への適応はラベル業界でも喫緊の課題。フィルムに対する逆風や循環型経済への対応、人材不足と技術承継に関する諸問題が挙げられる。伝統産業に特化したある印刷会社では、生活様式の変化に伴う主力製品の需要減少に際し、新規分野の開拓に挑む。展示会などを通じて得た気付きとして「多彩な加工設備・技術を擁する中で『なんでもできる』との標語から、『□□が得意』と想定顧客のニーズに絞ったコピーへ変えることで引き合いが増えた」とPRのコツを話す
▼また、食品や飲料などの商品開発を支援するアドバイザーは「ブランドオーナーはアレもコレもと商品の特徴を並べ立てて消費者へ伝えようとする。それらの中から真に伝えるべき要素を掘り当て、ロゴやラベルデザインに反映することこそ肝要」と説く。溢れんばかりの情報を分析して必要な成分を抽出する作業は、印刷会社でも日常の風景。顧客の要望を聞き出し仕様書に落とし込み、オペレーターは基材とインキの相性、加工条件を考慮し最適なラベルを出力する
▼気象予報は気温・湿度、エアロゾルなどビッグデータに対して分析精度の向上が図られ、人々の生活を豊かにしている。ラベル業界では9月に4年ぶりの「ラベルエキスポヨーロッパ」が実施予定。600社超の展示に加え、トレンドを映した特設コーナー、講演会など情報の渦の中から自社に益するニュースを選り分け何を見いだすか。嵐のような時代を晴らす契機に期待し、ラベルの祭典の空模様を追ってリポートする。
(2023年7月15日号掲載)