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ハイ・アングル(2022年8月15日号掲載)

▼猛暑日を記録した日数が歴代最多を更新し続ける今夏。日本各地で帯状の積乱雲が線状降水帯を成し、豪雨災害をもたらしている。大雨や洪水による災害危険度を視覚的化した気象庁のキキクル(危険度分布)は、警戒レベル5の「災害切迫」を連日のように発出。日常を襲った水害の映像に声を失う

 
▼今強く懸念されるのが、建築業の人手不足の深刻化とこれに伴うリスク。復旧へすぐに急行できない、人員を割けない日がくると危惧している。土砂が線路を覆い、地盤沈下で道路に陥没が生じ、橋が流される。生活インフラを失う映像を今夏だけで幾度目にしたか。経験したことのない大雨が、経験したことのない被害を引き起こす
 
▼先日発表したJAISA主催の「自動認識システム大賞」に思わず目が留まる。10件中7件をRFIDが占める近年にない急増と同時に、内容は地すべり防止用インフラ向けに、下水道の異常検知と通報。そして優秀賞は、本紙も報じた油や水漏れを検知するプラント監視システムだ。いずれも人の目が届きにくい場所の管理にセンサーやRFIDタグ・ラベルを貼り、異常をいち早く発見してインフラを守る提案だ
 
▼全印工連の「メディア・ユニバーサルデザインコンテスト」。2年前の学生の部、大賞作品「I.SCALE~災害の見える化計」は一目で災害を“自分ごと化”する、壁に貼る物差しだった。200cmの目盛りへ津波・積雪・洪水のシールを貼り、映像では実感しづらい「高さ」を普段から意識させる
 
▼値上げ、需給の不安定、ラベルレス化。われわれにこれまでに経験したことのないキキが迫る。RFIDは個品管理から社会インフラを守る利器へと進化を始めた。果たしてラベルはどうか。このまま留まっていては激流に抗えず、警戒レベルを見誤ると待てども助けは来まい。商品の顔、だけが永遠の安全な“避難所”ではないはずだ。
 
(2022年8月15日号掲載)

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