フジシール、三菱ケミカル、ヴェオリア・ジャパンおよび大日精化工業の4社は今春、PETボトルの使用済みシュリンクラベルを再利用するための実証プロジェクトを開始した。実証プラントを設置し、2022年の社会実装を目指す。
PETボトルのシュリンクラベルには、容器リサイクル推進の観点から、分別廃棄がしやすいようにミシン目加工を施すなどの機能が付加されている。ただし、ラベル自体にはリサイクルの仕組みが構築されておらず、飲料市場から循環経済の取り組みとしての対応が求められていた。
このようなニーズを踏まえ、4社はPETボトルに装着された状態のシュリンクラベルをリサイクル活用する仕組みづくりとして、同プロジェクトをスタート。フジシールのシュリンクラベル設計、三菱ケミカルのフィルム設計・製膜、大日精化工業のインキ・顔料といったそれぞれの技術と、ヴェオリア・ジャパンが所有するリサイクル技術の融合により展開する。
具体的には、シュリンクラベルに印刷されたインキを取り除き、フィルムを新たなシュリンクラベルとして再利用。三菱ケミカルは「基材はPETで、再利用されたフィルムは、使用に問題ないような品質を維持する」と説明する。
また、脱離したインキのリサイクル活用も視野に入れて検証。現時点でグラビアインキを対象としており、大日精化工業は「分散配合技術を活用することにより脱離しやすいインキの確立を推進する。さらに脱離したインキは、ラベルへの印刷などといった各種油性グラビアインキや、環境対応型の水性フレキソインキへの再利用に向けた開発を検討。加えて、樹脂用着色剤への応用も目指す」としている。
(2021年4月15日号掲載)