▼紀元前776年にさかのぼる。今日7月1日は、第1回古代オリンピックが開催された日と伝えられている。発祥は当時のギリシアで、国家間の武力衝突を避ける目的があったという。ギリシア戦士たちは開催期間中、いかなる争いごとを中止して競技に専念した。時は戻り、日本開催を控える2021年。オリンピック憲章の一文には「平和でより良い世界の構築に貢献」と記される。史上初の延期を伴うも、準備の1つにワクチン接種の推進が挙げられる
▼大規模接種会場では、事前に配布された予診表や接種券のほか、接種終了時に貼られるシールを持参。現場では、AIサーマル検知端末とラベルプリンタで構成されるシステムにより、非接触の検温を実現する。プリンタからは検温済みの証しとして、日時、体温の証明シールが発行。その後、受付・問診・接種の各ブースへ促されていく。接種後、持参したシールが接種券に貼られる仕組みだ。1回目の接種を終えた人によれば、検温から接種、次回予約に至るまでスムーズに進行したという。シールの存在も円滑な対応の一役を担ったと言える
▼オリンピックの大会組織委員会は、選手と頻繁に接する機会の多い人からワクチン接種を進めている。しかし数十万人規模のスタッフで接種を見通せないという。自治体の大規模接種に頼らざるを得ない中で、警備員のほか、選手を会場へ送るバス乗務員らに接種券が届かず、開幕までに接種が完了しないようだ
▼バス会社は徹底した感染対策や期間中の交通規制といった講習を行い対応に追われている。つり革や手すりに貼る抗菌・抗ウイルスのシールが、安全な運営の構築につなげられないかと思案する。コロナ禍でのオリンピック開催を控え、平和な世界への尊さを実感した約1年半。ラベル業界も難局を越える跳躍力で、見えない敵に打ち勝とう。
(2021年7月1日号掲載)