8%、10%と2度にわたる消費税率引き上げで、事業者の負担を考慮して設けられていた特例期間が2021年3月31日㈬を持って終了する。翌4月1日㈭からは消費税の「総額表示方式」施行により、商品の総額表示が義務化される。同制度は、消費者に対して商品やサービスを提供する課税事業者が行う価格表示を対象とするもの。店頭POPや値札シールなどへ税込み価格の明示が統一されることで、消費者がレジで支払う全額を事前に明確化。また、商品を選ぶ際には同じカテゴリー品の比較も容易となる。
総額表示の対象となるのは、値札や商品陳列棚、店内表示、商品パッケージ、ラベル、ポスターなどのほか、新聞折込広告やダイレクトメールといった配布物、新聞、雑誌、テレビ、インターネット、電子メールなどの媒体を活用した広告に適用される。その中で、表示物の例外になるのが商品カタログ。発行後も一定期間は利用されるため、2004年4月以前に作成された税別価格表示によるカタログの場合は、税別価格と税込み価格の対比を示した価格表を挟み込むなど、消費者の誤解を招かないような対応が求められている。
表示方法について例を挙げると、現行の消費税10%を含む支払い総額のみを記載すれば、総額表示に該当するが、次のような形も表示可能だ。
▽11,000円(税込み)▽11,000円(税込み価格)▽11,000円(うち消費税額等)▽11,000円(税別価格10,000円、消費税額等1,000円)、など。
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今年3月31日㈬までの期間、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、特別措置法が設けられている。財務省のガイドラインによれば、税別価格を表記する場合、値札の色分けを行い税込み価格と区別するほか、個々の商品や棚へ税別であることを明示し、消費者の誤認防止策を講じなければならない。
加えて、個々の値札に税別価格を表示することができない場合は〝当店の価格表示はすべて税別になっています〟といったPOPなどの掲示が必要になる。
〈写真〉食品スーパー(右と左上)では税別価格表示が目立つほか衣料ブランド店ではすでに対応を進めている
(2021年2月1日号掲載)