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ハイ・アングル(2021年1月15日号掲載)

晴れやかな気持ちで新年を迎えることは叶わず、前年からの厳しい状況が継続している。新型コロナ感染者数の急増を受け、政府は2度目の緊急事態宣言を11都府県に発令。人流抑制による感染拡大に歯止めをかける方針だ。宣言下の地域では企業に出勤者の7割削減を要請するなど、生産活動は再び制限を強いられる。「またか…」の気持ちが正直なところ

 

 ▼本紙調査による2020年度上期の粘着紙出荷量は前年度比3.3%減。食品や流通分野向けラベルが巣ごもり需要で底支えしたが、工業ラベルを中心に減産が相次いだ。同下期は回復の兆しがみられたが、2度目の緊急事態宣言による影響が気にかかる

 

 ▼コロナ禍での厳しい経営環境を背景に、既存事業と並行して収益向上を目的とした新規事業に挑戦するラベル印刷会社が現れている。デジタル印刷機を設備し、コンベンショナル機で培った技術ノウハウを応用することで〝超多品種小ロット〟ラベルの新規採用を獲得した老舗。時流を反映し、抗菌・抗ウイルスといった機能性ラベルを開発した企業など。あらためてラベル印刷・加工技術の奥深さを感じる

 

 ▼本田宗一郎氏は著書で「人間がいろんな問題にぶつかって、はたと困る、ということは素晴らしい〝チャンス〟」と記す。現在の状況がまさに該当するといえよう。ラベル業界人が知識や技術ノウハウを生かしてベストな判断をしたことにより、難局が好機へと転じたケースはこれまでにもあった

 

 ▼ただし、イノベーションの達成は容易でなく、時には自身の、そして企業としての限界を感じることもあるだろう。本田氏はなおも続ける。「自分の力の足りなさを自覚し、知恵や力を貸してくれる他人の存在を知るのもいい経験」と。ラベル業界にとって厳しい現状が続くが、仲間とともに挑戦し続ける先に企業の成長があることを信じたい。

 
 
(2021年1月15日号掲載)
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