米PANTONEはこのほど、ファッションや美容、社会経済といった多彩な分野から連想される2021年のテーマ色「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表した。選ばれた2色は、グレーベースで強固な信頼、落ち着き、回復への思いを促す「アルティメット・グレイ」と、生き生きとした輝きを放ちイエローが基調の「イルミネイティング」。どちらも先の見通しが立たない時代を照らす発色となりうるか
▼全国の新型コロナウイルス感染者数が最多を更新する日々。旅行や飲食業に活気を取り戻しつつあるキャンペーンも、継続か否か選択を迫られている。停滞する経済を支えるべく、菅政権下では初となる税制改正に踏み切る構えだ。住宅ローンやマイカーのほか、脱炭素、デジタルトランスフォーメーション化を支援する〝減税色〟の濃い政策は、ラベル業界へも影響を与えそう
▼会食人数や営業時間の制約もあり、依然〝テークアウト始めました〟と案内する飲食店が軒を連ねる。また自宅で過ごす機会が増え、深夜対応を始めた食品デリバリーも。配達員を委託している場合は、表示ラベルを貼る必要があるほか、中身の開封跡を残すシールが包装袋へ貼られ安全性を示す。一方、店舖に調理場を持ち成分表示について対面販売員が説明できる環境であれば、ラベルを貼付する必要がない。需要増の中食産業では、対面・非対面によってラベルの使用・不使用があるなど〝特色〟が見られる
▼世界を取り巻く状況への対応に追われた2020年は、1枚のラベルへ付加価値を創出し、社会に貢献する姿を垣間見た1年でもあった。年末年始は、鮮やかに彩られた街を安心してしづらいが、ラベル業界から一筋の光を示せるよう、各社が誇る技術を独自色として打ち出し〝まっさら〟なラベルが魅力ある製品へ変わる瞬間を伝えていきたい。
(2020年12月15日号掲載)