東洋シール㈱(大阪市東成区大今里、杉本哲也社長、TEL06-6974-1621)はこのほど、抗ウイルス層をコーティングした薄物フィルムを発売した。先行して「PET#25抗ウイルスフィルム」と「OPP#40抗ウイルス透明フィルム」をラインアップ。またPET#25に粘着加工を施した「抗ウイルスラミネート」の小ロット販売も手がける。
採用した抗ウイルスコーティングは、ウイルスや細菌の活性を抑制する特殊なコーティング剤をフィルムの表層に処置する技術。コーティング層に接触したウイルスは変質して不活性化し、また細菌は接触とともにコーティング剤と結合することで増殖が抑制される効果がある。
製品化にあたっては、第三者機関で抗菌試験を実施し、高い効果が得られた。また、その後の抗ウイルス試験でも、非コーティングのフィルムと比べて、サンプルウイルスの感染能力値が4時間後に約2分の1(実測値)まで抑制された。今後、(一社)抗菌製品技術協議会が運営する「SIAAマーク」を取得する予定としている。
製品化に際して同社は、抗ウイルスコーティングを加工が難しいとされる薄型の透明フィルムにも挑戦。試行錯誤の末、製品化に成功した。
PET#25抗ウイルスフィルムは、ラベルやステッカーをはじめ、店舗のポイントカードや間仕切り、医療分野でのカルテや診察券など、幅広い用途を見込む。また、粘着塗工されたPET#25抗ウイルスラミネートと再剥離性ラベルを貼り合わせることで、エレベーターや自動ドア、トイレや階段の手すりなどに使用可能。定期的に貼り替えるといった用途が挙げられる。OPP#40抗ウイルス透明フィルムは、包装資材として活用できる。
杉本社長は「当社はこれまで、環境配慮型ラベルをはじめ、社会に役立つ製品の開発を手がけてきた。今回の新製品は、これからの新しい生活様式の定着に貢献したいとの思いから開発に取り組んだ。すでに多方面からOEMの相談もいただいており、当社の抗ウイルスフィルムを使った製品が世の中に普及することにより、健康で安全な社会の実現に少しでも役立つことができれば」と話している。
〈写真〉抗ウイルス透明フィルムをラミネートしたラベルサンプル。包装資材などへの用途も見込まれる
(2020年9月1日号掲載)