東洋インキグループのトーヨーケム㈱(東京都中央区京橋、町田敏則社長、TEL03-3272-5743)はこのほど、環境負荷低減に貢献する粘着剤の新製品を次々と発表。環境対応型粘着剤のラインアップ拡充を図るとともに、ラベルやテープ、包装資材など関連分野に向けて訴求する。
新たに開発した粘着剤は①生分解性②高バイオマス・再剥離性能付与③超ハイソリッド、以上の3種類。
①はウレタン系をベースとする「サイアバイン」シリーズの強粘着タイプとして上市。廃棄後は、土中の微生物によって最終的にCO2や水、窒素、メタンガスへ分解される。また植物由来原料を使用し、バイオマス度45%を達成。CO2排出量と石油資源の使用量を削減する。
近年、生分解性フィルムを基材に採用したラベル製品が粘着紙メーカーから発表されている。トーヨーケムでは「生分解性フィルムと当社の粘着剤を組み合わせることで、製品トータルでの生分解と環境対応に寄与する」と説明する。
②はアクリル系が「オリバイン」シリーズ、ウレタン系がサイアバインシリーズ。粘着剤の主要原料であるポリマーをバイオマス原料から合成し、サイアバインはバイオマス度80%を、オリバインは同75%を達成した。いずれも強粘着タイプで、同社は「石油由来原料による従来の粘着剤と比較して、焼却時に約40%のCO2を削減する」と話す。
またバイオマス粘着剤では開発が難しいとされる再剥離性を付与した製品を発表。シリーズともにバイオマス度は10%で、オリバインは中粘着と微粘着、サイアバインは微粘着のタイプをラインアップしている。
③はサイアバインシリーズとして開発。同社ではこれまでにも、不揮発分が高いハイソリッド(高固形分)の粘着剤を展開していたが、新製品は特殊合成法により、溶剤の使用を極限まで減らした〝超ハイソリッド〟タイプとなる。粘着剤は通常、固形分の増加に伴って塗液が高粘度化し、塗工が困難となる。新製品は、独自のポリマー・架橋設計技術により、従来品と同等の粘度と粘着性能を維持。溶剤を極限まで減らすことにより、塗工乾燥時のCO2削減を実現する。
一連の新製品発表に際して、同社では「ポリマーのテクノロジーから生まれた要素をお客さまのニーズとマッチングさせ、革新的な製品の開発を推進する。環境負荷を低減し、循環型社会の実現に向けて貢献したい」とコメントしている。
(2020年6月15日号掲載)