インキメーカー各社はこのほど、オフセットインキやUVインキなどを対象とした価格改定の実施を相次いで発表。改定時期は大半が1月中旬から2月にかけて、改定幅はオフセット枚葉インキが1キログラム当たり30〜80円、オフセット輪転インキが同30〜60円、UVインキが同100〜180円、新聞インキが同20〜60円、となる見通し。
価格改定の背景には、中国における環境規制強化が第1の理由として挙げられる。国内インキメーカーの多くは、オフセットインキやUVインキの主原料となる顔料や樹脂、光重合開始剤などを中国メーカーから調達しているが、近年の環境規制強化によって各原料の生産量が減少傾向にある。それに伴い、日本を含むアジア地域、さらには世界規模で需給バランスが崩れ、その結果、各原料の高騰が継続している。
インキ業界関係者は「中国では景気の減速感から、環境規制緩和に対する動きも一部で聞かれてはいるものの、状況が急速に改善するとは考えにくい。むしろ一度崩れてしまった需給のバランスにより、原料価格はしばらく高止まりの見通しが強い」とコメントする。
また第2の理由として、日本国内の輸送費や荷役費などの物流コストが高騰。物流業界では近年、人手不足による賃金や燃料費が上昇している。加えて、行政からの物流業界に対する指導強化や付帯サービスの料金明確化などといった理由もある。
これに対し、インキメーカー各社は、原料調達の見直しや生産効率化、最適化によるコスト削減などといった対応策を講じることにより、現状打開を模索しているものの、それも限界に到達。業界関係者は「自助努力によって原料価格や物流コストの上昇分を吸収することが困難な事態に至った。もはやこのままでは、事業継続と安定供給に支障をきたす可能性も否めない。そのような背景から、やむなく価格改定を決定した。お客さまにはご理解をいただきたい」と説明する。
今回の価格改定により、ラベルを含む印刷産業界への影響が想定されることから、引き続き今後の市場動向を注視する必要がある。
(2019年1月15日号掲載)