食品向けパッケージの印刷加工を手がける富士特殊紙業(愛知県瀬戸市暁町、杉山真一郎社長)は、働き方改革と生産性改革を推進する先進企業として安倍晋三首相の視察訪問を受けた。安倍首相は、杉山仁朗会長、杉山社長から、同社が開発した「水性グラビア印刷技術」、富士フイルム、オリエント総業、ミヤコシと共同開発したUVインクジェットと水性グラビアのハイブリッド印刷機「FUJI・M・O(フジモ)」などについて説明された。
同社は、包装する食品の安全を図るため、業界初の脱溶剤を掲げた水性グラビア印刷技術を実用化した。続いて、FUJI・M・Oを共同開発して稼働させたことによって、シール・ラベル印刷でも一般化している小ロットジョブへの効率対応が実現。ジョブチェンジの際にグラビア印刷用のシリンダー交換が白1版で済むため、オペレーターの負担が軽減された。そのような実績が、働き方改革・生産性改革の先進事例と評価され、首相の同社訪問につながった。
首相は、入社から間もない女性社員がFUJI・M・Oを使いこなす現場を視察し「誰もが働きやすい環境を実現されており、“一億総活躍社会”の理念に合致した取り組みだと思う」とした上で「(FUJI・M・Oは)これからの小ロット・多品種の時代にふさわしい、画期的な印刷機だ」と、今後のさらなる活用に期待した。
首相の視察後に杉山会長は、「当社では、“食品のおいしさを包む”という観点と、社員の健康を守るという目的から、積極的に水性化に取り組んでいる。また、VOCの削減は、東京都がオリンピックに向け重点的に取り組んでいる課題でもあり、“VOCの少ない製品の選択”が全国的に広がりつつある。その点、FUJI・M・Oや水性グラビア印刷は、VOCの発生が極めて少なく、社会的な潮流にマッチした技術である。安倍首相には、こうした独自技術の開発経緯や具体的なメリットなどについてご説明し、高く評価していただいた」とコメントしている。