印刷通販サイト「デジタ」を運営する(株)デジタ(岐阜県恵那市大井町、藤下和也社長、TEL0573-25-2340)は先ごろ、取り扱い品目に紙器を加えて、ラインアップを拡充。独自の製造ノウハウを確立し、1個からの製造にも対応する。パッケージ活用の裾野を広げる同社は、受注システムを内製化している点を生かし、ソフトパワーで多展開を図る。ラベル業界におけるウェブ・ツー・プリントサービスの事例として、同社への注目度は一層高まっている。
印刷通販「デジタ」は2010年の立ち上げ以来、シール・ステッカーなどのウェブ・ツー・プリントサービスとして受注件数を着実に伸ばしている。極小ロットから印刷を行う同社は3月、紙器の製造も開始。ラインアップ拡充の経緯について、藤下知也常務は「周辺分野もカバーし、より幅広いお客さまのニーズへ応えるため紙器の製造にも乗り出した」と振り返る。
パッケージは「スリーブ箱」「スリーブのみ」「キャラメル箱」「フタミ式組箱」「地獄底箱」といった形状を用意しており、基材は「コートボール」「両面コート」「クラフト」のいずれかを選択可能で、基材の厚みも各種とりそろえている。また、規格サイズ以内ならば、オリジナルの形状にも対応。ラミネートの有無をはじめ、ふたを開けやすくする「指かけ」もオプションで選択できるなど、同社ならではのノウハウを盛り込み、極小ロットからの紙器製造を実現した。
サイト上で形状と基材の種類、数量、後加工を指定すると価格・納期が表示される。パッケージの縦・横・奥行きのサイズを指定すれば、展開図のデータをダウンロードできる点も特徴。パッケージにシールを組み合わせて、より意匠性を高めるといった応用方法もあり、取り扱い品目間の相乗効果も見込まれる。
現状の利用者は法人が多いとのことで、商品の試作をはじめ、イベントやキャンペーンの配布用途など、多様な分野で活用されている。一方で、一般消費者が「パッケージを作る」というシーンはまだ限定的で、今後はパッケージの活用法を訴求していくことが課題だという。
同社はそのほか、「クリアファイル」「Tシャツ」「ポリ袋」「マグネット」「タオル」の印刷を手がけ、今回紙器が加わったことで「利用者の求めるラインアップが一通りそろい、今期を成熟期としていきたい」(藤下常務)と戦略を練っている。一層の利用者拡大に向けて、サイトの見せ方、デザインもブラッシュアップを重ねていく方針だ。
さらなる展開として、同社は5月に求人情報サイト「ワーグナー」(https://worgner.jp/)も立ち上げた。その狙いは「人が集まるプラットフォームの構築」に加え、自社広告の掲載による訴求力の向上にもある。「一般消費者が頻繁に目にするウェブサイトへ着目し、印刷以外のターゲットにも訴求できる求人サイトの立ち上げに至った」(藤下常務)としており、印刷通販サイトも含め、自社内ですべてのシステム開発を行っている同社ならではの多展開を図っている。
今後の展望について、藤下常務は「ユーザビリティーには常に注意を払い、日々改修を重ねて使いやすいサイトを目指す。将来的には印刷通販のデジタだけではなく、IT企業として〝デジタ〟ブランドを確立していきたい」と話す。
(2018年8月1日号掲載)