(株)ユポ・コーポレーション(東京都千代田区神田駿河台、藤原英幸社長、TEL03-5281-0811)はこのほど、静電吸着グレードに改良品を追加した。新製品は基材と剥離フィルムの間の密着性を従来品より強化したことで、抜き処理など後加工が加わるラベル印刷向けにより適性を高めたもの。ロールタイプの白色「WESL155」と透明の「WEST155」については今後、親巻きは同社が、ラベル印刷会社向けの幅取りや小巻き対応などは丸昌化学工業(株)(水谷剛士社長、東京支店・TEL03-5823-7810)が先行して取り扱っていく方針。
静電吸着とは、粘着剤は一切用いず静電気の力だけで被着体に貼付するもの。静電気は上紙の合成紙と剥離紙の間に帯電しており、剥離紙から剥がすと吸着面に電荷が集中。被着体に貼り付けると吸着力を発現し、電荷の鏡像が被着体にできることで吸着力を発揮する、という構造だ。
貼付直後の被着体が帯電していない間は吸着力は弱いもののすぐに安定、好条件下では1年以上剥がれず維持する。エアーが入りにくい、施工がしやすい、のり残りが100%生じず剥がしやすい、といった特長で、シートタイプは店舗装飾やイベントポスター用途などで使用されている。
一方ラベル印刷機用のロールタイプは、連続的に抜き刃の力が加わったりテンションが変動したりするため、静電気だけで基材と剥離紙を密着させる性質上、ズレや抜き加工後のシール・ラベルの脱落が生じることがあった。これの改善を図った新グレードは、剥離紙側に特殊な処理を施すことで従来グレードよりも強いグリップ性を付与。凸版輪転機や間欠機による印刷加工でも安定して使用できる。
想定する用途はファンシーシールやウインドーPOP、店舗装飾など。このほか壁紙のような表面上に多少の凹凸がある対象にも吸着するため、ウォールステッカー用途としても使用できる。貼付対象はスチール素材やアルミ、化粧板や木材、ガラスや段ボールなど幅広い。なお同機能を有したシート製品はすでに発売中で、UVオフセット用、UV/水性インクジェット用、HPインディゴ用を展開中。
(2017年11月15日号掲載)