DICグラフィックス(株)(東京都中央区日本橋、谷上浩司社長、TEL03-6733-5060)はこのほど、軟包装フィルムなどのパッケージ向けに、グラビアのような高濃度印刷を実現する水性フレキソインキ「マリーンフレックスLM」を開発した。
軟包装フィルムなどへの印刷には、溶剤系のグラビアやフレキソのインキが多く活用されている。しかし、環境負荷や残留溶剤の低減に向けた取り組みが、先進国のみならず新興国でも推進される傾向にあり、それに付随して水性やUVなどの環境対応型インキに対する需要が高まっていた。
特に水性フレキソインキは少ない数量で印刷できるため、優れた硬化適性を実現。環境負荷の低減や、高速印刷への対応力などのメリットがある。一方で、高濃度・高精細印刷が課題とされており、グラビア同等の印刷品質を求める声が挙がっていた。
これに対して同社では、独自の配合技術と分散技術により、印刷適性を損なうことなくインキの高濃度化を実現するマリーンフレックスLMを開発した。濃度の向上に加え、バインダーとなる樹脂を構造から見直し、ラミネート時の高濃度化による接着強度低下を抑制。版から基材へのインキ転移後、版面に残留したインキの再溶解性を高めることにより、印刷品質の安定化も図られている。
また、インキ中の揮発性有機化合物(VOC)を5%未満に抑えるなど、環境負荷低減にも配慮。欧州の食品パッケージの安全性に関連する「スイス条例」の基準にも対応する。
〈写真〉「マリーンフレックスLM」の印刷サンプル
(2017年1月15日号掲載)