(社)日本印刷産業連合会の情報セキュリティ部会(成澤晃一部会長)は10月13日、東京都中央区新富の日本印刷会館で「個人情報保護研究セミナー」を開催し、印刷会社の担当者ら90人が参加した。
同セミナーでは、個人情報保護法とマイナンバー法が9月に改正され、2年以内に施行されるのを前に、印刷業界が対応すべき課題について2氏が解説。個人情報保護制度に詳しい慶應義塾大学の新保史生教授は、改正の柱を「鉄道会社がIC乗車券の乗降履歴を販売していた事例などを受け、運用に伴うグレーゾーンの解消が図られた」と説明。具体的には、個人を特定できないよう加工した情報の目的外使用や第三者への提供で、本人同意が不要であることが明確化された一方、事業者に適切な管理を義務づけた点を挙げた。
新保教授はまた、個人情報の有効活用に向けて、目的外使用の制限が緩和されたことについて「例えば製品の販売時にDM送付という目的で収集したユーザーの個人情報を使い、購入製品のアフターサービスに関する案内を行うことが認められた」との解釈を示した。
さらに新保教授は「5000件以下の個人情報を扱う小規模事業者は従来、個人情報保護法の対象外だったが、今回の改正で例外扱いが撤廃された」と指摘。中小企業は今後、個人データの安全管理や従業員への監督を強化する必要があるとした。
情報セキュリティーの対策については、(独)情報処理推進機構の土屋正研究員が説明。情報の破壊や不正利用といった脅威について代表的な手口を整理し、「ソフトウエア更新や定期的なパスワード変更の徹底が重要」と説いた。
(2015年11月1日号掲載)